プロローグ
少年は、巨大な図書館の一角で不思議な本に出会う。引き寄せられるようにその本を取って捲ると、廃墟のような街の絵と共に、とても幻想的で美しく、どこか懐かしい世界の物語が、まるで現実のことであるかのように綴られている。
不思議なほど、その物語に惹きつけられてしまう少年。いつしかその描かれた世界に取り込まれ、その街での“物語”を追体験していく。
まるで目の前で自分が体験したかのような鮮やかな追体験ののち、はっと我に返ると目の前にあるのは一冊の本と、追体験の中では鮮やかな姿で“生きて”いたはずの街の廃墟となった姿の絵画。
果たして主人公が見てきたものは何だったのか。
物語の世界か、現実か、はたまたただの夢なのか…。
判然としないながらも、主人公はまるで何かに誘われるかのように再びその書物のページを捲り、新たな“世界”へと没頭していく。
この本を読み終えたとき、主人公が辿りつくところとは――